プロフィール
杉岡 秀紀
杉岡 秀紀
1980年、奈良県生まれ。2003年同志社大学経済学部卒業、2007年同大学大学院総合政策科学研究科博士前期課程修了。2009年同博士後期課程退学。臨床政策学者。周旋家。2016年から福知山に移住。

専門は、公共政策、地域政策、地域公共人材論、大学まちづり論、NPO論、大学評価論。

大学時代から環境問題、まちづくりに関心を持ち、2003年にまちづくりNPO「きゅうたなべ倶楽部」を主宰(発起人)。地域に開かれた大学祭の創造や商店街活性化、フリーペーパーの発行・産学連携ITプロジェクト・商品開発・リユースフェアなどのコミュニティビジネスを武器に京都府南部地域におけるまちづくりに取り組む。

2007年からは、いったん地域から離れ、霞ヶ関(内閣官房)へ。行政改革推進本務事務局にて、社会保険庁改革に従事する。

同志社大学政策学部嘱託講師(2009〜2014)、一般財団法人「地域公共人材開発機構」事務局総括(2009〜2012)、京都府立大学公共政策学部講師・地域連携センター副センター長(2012〜2016)を経て、2016年秋より福知山公立大学地域経営学部准教授。京都府立大学京都政策研究センター特任准教授。

社会貢献活動として、龍谷大学地域公共人材・政策開発リサーチセンター 客員研究員、一般財団法人地域公共人材開発機構常任理事、一般社団法人社会的認証開発推進機構評議員、NPO法人グローカル人材開発センター理事、NPO法人京都子どもセンター監事、きゅうたなべ倶楽部アドバイザー、真庭市政策アドバイザーなどを務める。

主な著書は、『地域力再生の政策学』(ミネルヴァ書房、2010年、共著)、『地域貢献としての大学シンクタンク』(公人の友社、2013年、編著)、『地域公共人材をつくる』(法律文化社、2014年、共著)、『住民自治を問いなおす』(法律文化社、2014年、共著)、『もう一つの自治体行革』(公人の友社、2014年、編著)、『持続可能な地域実現と大学の役割』(日本評論社、2014年、共著)、『地域力再生とプロボノ』(公人の友社、2015年、編著)『地域創生の最前線』(公人の友社、2016年、編著)、『自治体政策への提言』(北樹出版、2016年、共著)など。

大学時代(2000年)に結成したバンド「シカゴプードル」では、2003年に京都学生祭典(KYOTO STUDENT MUSIC AWARD)でグランプリを受賞。2004年にCDデビューも果たした(2006年に卒業)。

【HP】 http://sugiokahidenori.jimdo.com
【ブログ】http://e013.dgblog.dreamgate.gr.jp/
【facebook】http://www.facebook.com/hidenori.sugioka/

【主な受賞歴】
2002年 「REALIZE In Kyoto(京都府南部地域における学生による地域政策・ビジネスコンテスト)」グランプリ受賞
2003年 「京都学生祭典 全国学生音楽コンテスト(kyoto student music award)」グランプリ受賞(Chicago Poodle)
2003年 「同志社大学育英賞」受賞
2004年 「エコ京都21」認定(きゅうたなべ倶楽部)
2004年  関西文化学術研究都市「都市びらき10周年」感謝状授与(きゅうたなべ 倶楽部)
2005年  内閣府「生活達人」認定
2005年  京都人間力大賞ファイナリスト
2007年  日本都市計画家協会「全国都市再生まちづくり会議」奨励賞受賞(きゅうたなべ倶楽部)
2012年  京都府「明日の京都」推進特別賞(地域公共人材開発機構)
2013年 「第7回全国大学まちづくり政策フォーラム」優秀賞受賞(杉岡ゼミ)
2013年 「第9回京都から発信する政策研究交流大会」優秀賞(杉岡ゼミ)
2014年 「京都府立大学学長賞」受賞(杉岡ゼミ)
2014年 「第10回京都から発信する政策研究交流大会」京都市長賞、優秀賞受賞(杉岡ゼミ)
2014年  2013年度京都府創発事業認定(京都丹波・写ガール隊)
2015年 「第9回全国大学まちづくり政策フォーラム」優秀賞、政策マネジメント研究所賞受賞(杉岡ゼミ)
2015年 「2015年京都丹波観光プランコンテスト」優秀賞受賞(杉岡ゼミ・京都丹波・写ガール隊)
2016年 「第4回 京の公共人材大賞」奨励賞受賞(京都丹波・写ガール隊)
2016年 「第10回全国大学まちづくり政策フォーラム」優秀賞、政策マネジメント研究所奨励賞受賞(杉岡ゼミ)
2016年 「京都府公立大学法人 理事長表彰」(京都丹波・写ガール隊、地域連携センター学生部会かごら)
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2017年09月06日

他流試合の効用

大学時代の一番の思い出は?と聞かれたら何を思い出すだろうか。

私も一つに絞るのは無理だが、ベスト3に入る思い出の一つに

「対抗ゼミ」

というのがあった。字のごとく、ゼミ対抗で競い合うインゼミ企画である。

当時私が所属していたゼミは環境経済学のゼミであった。そのゼミで伝統として続けられたのが、
慶應大(細田ゼミ)、中央大(横山ゼミ)、一橋大(寺西ゼミ)、京都大(植田ゼミ)、そして同志社大による

「5大学対抗ゼミ」

であった。内容は各大学(ゼミ)で取り組んでいることを準備に発表し、あとは飲み会というシンプルな設計であったが、
SNS隆盛の今と違って、当時は他のゼミ、とりわけ関東の大学がどのようなことをしているのかを知る術はほとんどなかった。
その意味でどんなことを学んでいるのか、どんな人(先生・学生)がいるのかを知れる本当に良い機会であった。

「かわいい子には旅をさせよ」
「他人の釜で飯を食う」
「袖振り合うも他生の縁」

ではないが、この他流試合を通じて、学んだことは数知れず、なのである。

あれから約15年。福知山に赴任して、一番感じたのは、

「周りの大学(生)との交流の少なさ」

であった。そこで

「そうだ、対抗ゼミ(インゼミ)をしよう」

と企画をしてみた。プロボーズをしたのは、同じ地域系の学部を持ち、かつ熱意を持って教育やプロジェクトに取り組まれている

・小樽商科大学の大津晶先生(学長特別補佐。「本気ゼミ」が有名)
・東北公益文化大学の鎌田剛先生(庄内オフィス長。「社長インターン」が有名)

の2大学。本学が公立なので、結果として、国立・公立・私立のバランスもよく、集まった学生も2〜4回生、
出身は北海道から東北、関東甲信越、関西、中国・四国、九州まで全国横断のいわばミニパブリックスが出来上がった。
そして、0から1の場となる1年目は学生の強い要望(?)もあり、北海道で開催することになった
内容は以下のとおり。

【1日目】
・夜:教員・学生現地(舞鶴/山形→小樽)入り、懇親会。

【2日目】
・朝:会場(歌才自然の家@黒松内町)に移動。
・昼:オリエンテーション、学生による各大学のゼミ(クラス)活動紹介、合同チーム(3チーム)によるグループワーク①
・夜:交流会、合同チームによるグループワーク②

【3日目】
・朝:教員によるミニ講義(各大学のプロジェクト紹介ほか)、合同チームによるグループワーク③
・昼:合同チームによる政策提言発表、審査、講評・表彰(副賞は地域特産物)、集合写真撮影、解散
  (グループテーマは「シェアリングエコノミー」「ソーシャルキャピタル」「スマートツーリズム」)

お気づきの方もおられるかもしれないが、今回の最大の特徴は「合同チーム」の結成にある。
これは自分自身の大学時代になかった切り口であり、他流試合を本気でやるならぜひやりたかったアプローチだった。
しかし、逆に言うと、教員から要望したのはこの1点くらいであり、あとは各大学から1名ずつ合宿担当の学生を選出し、
数ヶ月に渡り、LINEを中心に

「学生主導で合宿のコンテンツづくり」

をしてもらった。つまり、このプロセスもいわゆるPBL(Project Based Learning)になった訳である。

さて、そんなこんなであっという間に2泊3日のインゼミが終わってしまったのだが、最後に私が感じた効用をまとめてみたい。
それは一言で言えば、

「異分野、多様性からやっぱりイノベーションは生まれる」

という実感である。

3大学の学生を「ごちゃまぜ」にすることで、チームごとに日頃の学生間では生じない
「多様性」が生まれた。そして、それが結果として、色んなアイディアやチームワークを生むことにつながった。

言うまでもなく、社会に出れば、色々なチームで色々なバックボーンを持った人間と一緒に仕事をすることになる。
当たり前のことだが、そんな社会に出て経験することを前倒しで経験し、その可能性と課題を知れたというのは、
彼らにとって大きい意味を持ったと思うし、財産になったと思う。

「weak tie」(グラノベッター)

という概念があるが、まさに2泊3日を通じて、所属チームはもとより「弱い絆」が生まれていた。

帰りのレンタカーの中で学生に感想を聞いたが、共通して

「入学以来最大の思い出になった」
「終わるのが寂しい」
「来年もぜひ参加したい」
「とにかく楽しかった」

と口を揃え、全員の目つきや顔つきが変わっていた。

つくづく大人(教員)の仕事(役割)は、教えることだけでなく、

「彼ら彼女らが育つ環境づくりなんだな」

と再認識した次第である。

他流試合から学ぶ点は教員も多かった。


来年は山形で開催する予定。今からワクワクである。

平成29年9月5日
杉岡 秀紀 拝





  

Posted by 杉岡 秀紀 at 00:00Comments(0)杉岡日記より

2017年09月01日

「そろそろ18歳選挙権、主権者教育の次の話をしよう」

 平成27年に公職選挙法が改正され、わが国でも70年ぶりに選挙権の変更が行われた。この改正により約240万人の新しい有権者が誕生した。いわゆる「18歳選挙権」である。この「18歳選挙権」の実現から初の国政選挙となった平成28年の参議院選挙では、国を挙げてキャンペ―ンを行った結果、18歳は51.28%という数字をたたき出せた。20代の投票率は35.60%、30代のそれは44.24%であったことと比較すれば、とりあえず安堵ということだろうが、あまり強調されなかった19歳の投票率は42.30%に留まった。この世代は当然のことながら、大学生や専門学生が多く、自宅を離れて進学した結果、住民票と住所の乖離が起き、新しい土地でわざわざ投票に行こうという動機につながらなかったのかもしれない。ともあれ同じ10代でも約10%の開きが出たのは事実である。
 
 ところで昨年総務省が18歳選挙権をPRするために開設した、女優の広瀬すずさんを起用した特設サイト(18senkyo.jp)が現在どうなっているかご存知だろうか。結論から述べれば完全に閉鎖され、どうやらドメイン契約も打ち切られたようである。もう次の国政選挙では「18歳選挙権」「19歳選挙権」をPRするつもりはないのであろうか。あるいは1回のPRだけでもう十分という判断なのだろうか。ちなみに、前回の参議院選挙は6月実施ということもあり、ほとんどの高校生は投票できなかった。全国の高校では教育委員会や選挙管理委員会の協力を受け、いわゆる「主権者教育」が取り組まれた訳だが、本番はむしろこれからであると考える。また、そもそも論として、わが国が二院制である事を鑑みれば、せめて衆参を1セットとして、広報戦略を検討すべきではなかっただろうか。今回の特設サイト閉鎖を受け、そのあたりがやや憂慮される。
 
 もう1点心配ごとがある。いわゆる「主権者教育」を学校現場でPRすればするほど、在日外国人の学生や留学生が蚊帳の外に置かれたのではないか、という問題である。日頃からダイバーシティ(多様性)を意識されている学校は大丈夫だと思うが、往々にして学校における「主権者教育」は1科目あるいは1教員が担うことが多い。その意味ではチェックが働きにくい。地方自治の現場では、外国人はじめ多様な「市民」の声を聞くチャネルがある。民主主義の学校とも呼ばれる地方自治から今回学ぶこともあるのではないだろうか。
 
 ただし、これは外国人参政権を認めよという提案ではない。いわゆる選挙権が全面に押し出された「主権者教育」の議論から、英国のような「シティズンシップ教育」の議論へと移行しないと、教育現場に排外主義を持ち込んでしまうのではないかという憂慮である。
 
 大学はそもそも多様性のるつぼである。そろそろ「模擬選挙」「期日前投票所の設置」の議論から次の議論に進みたい。
                                                  杉岡 秀紀(福知山公立大学地域経営学部准教授)  

Posted by 杉岡 秀紀 at 00:00Comments(0)杉岡日記より

2016年12月31日

2016年10大ニュース

年の瀬ですね。

年々過ぎ去る日々が早くなっている感じがします。

というわけで、記憶の記録に留めるために、毎年恒例の

「10大ニュース」

を記しておきましたと思います。

【10位】高知への出張×4

今年は高知に4回出張に行くご縁がありました。

1回目は京都府北部地域・大学連携機構の仕事(バーチャル大学部会視察)、2回目は京都府立大学の京都政策研究センターの仕事(協働研究視察)、
3回目は与謝野町の仕事(総合計画の視察)、4回目は福知山公立大学の将来構想委員会の仕事(公立大学先進事例視察)です。

同じ地域に4回目も視察に行くことはなかなかないですよね。
とりわけ、高知大学の存在感を感じ続けた一年でした。


【9位】母校からの取材

「京田辺キャンパス開学30周年」

ということで、母校の同志社大学から取材が来ました。

私の今があるのは、京田辺のお陰と言っても過言ではなく、
最近はあまり恩返しが出来てなかったので、メッセージだけでも貢献でき、何よりでした。

https://www.doshisha.ac.jp/attach/page/OFFICIAL-PAGE-JA-117/78000/file/no189.pdf


【8位】第10回全国大学まちづくり政策フォーラムin京田辺で奨励賞受賞

毎年京田辺で開催され、ゼミで出場している

「全国大学まちづくり政策フォーラムin京田辺」

で杉岡ゼミ生が

政策マネジメント研究所奨励賞

を受賞しました。

https://www.kyotanabe.jp/0000009241

第10回という節目の回でもあり、学生にとっても教員にとっても印象深い受賞となりました。


【7位】国の委員でネット会議

京都で仕事をご一緒させて頂いたご縁で

「国土交通省の建設業イメージアップ戦略実践PT」

http://www.mlit.go.jp/common/001141404.pdf

の委員をさせて頂くようになりました。

この委員会のメンバーは東京から九州まで幅広くいるため、最初の委員会こそ東京で集まりましたが、
あとの分科会(ワークショップ)はネット会議(スカイプビジネスというソフト)で参戦。

これからは物理的な距離よりもミッションの距離が重要になるかもですね。


【6位】2冊の共著本出版

毎年1〜2冊ずつ出させてもらっている共著本ですが、今年は政策フォーラムのことを題材にした

『自治体政策への提言』

http://www.hokuju.jp/books/view.cgi?cmd=dp&num=995&Tfile=Data

という本と、地方創生本で

『地方創生への最前線』

https://www.amazon.co.jp/地域創生の最前線-京都政策研究センターブックレット-青山-公三/dp/4875556810/

という本を出版させて頂きました。

特に『自治体政策への提言』は【8位】の政策フォーラムとセットの存在になっています。


【5位】日本地方政治学会・地域政治学会「現代政治コンペ審査委員長」、日本オンブズマン学会「企画委員」拝命

今年は所属する2つの学会でお仕事させてもらいました。

一つは日本地方政治学会・地域政治学会で

現代政治コンペ

の審査委員長として大学生チームの10チームの審査をさせて頂きました。今年のテーマは

「18歳選挙権と民主主義:若者の政治参加に向けて」

という1テーマだったのですが、大学生らしいアプローチもあれば、
大学院生顔負けの研究的アプローチのものもあり、こちらも多いに勉強になりました。

https://chihoseijigakkai.jimdo.com/総会-研究大会/地方大会/2016年度/

また、開催は次年度ですが、来年4月に福知山で開かれる日本オンブズマン学会の企画委員も拝命しました。
こちらも良い学会になるよう、がんばります。

http://jpn-ombudsman.org


【4位】母の足の手術

私ごとになりますが、母の足の状態が思わしくなく、10数年前から生活に支障が出ておりました。
(病名は変形性股関節症)。

他方で、手術するまでの勇気までなかなかいかず膠着状態が続いてました。

ただ、今年は母の気持ちの整理もでき、また縁あって京都の

「第二日赤病院」

にお世話になれることとなり、3週間の入院で手術も一気に終えることができました。

執刀医の先生も看護師の皆さんも素晴しく、本当にすばらしい病院でした。
改めて感謝申し上げます。

https://www.kyoto2.jrc.or.jp/patients/diagnosis/orthopedic/


【3位】雑誌「致知」への掲載

「致知」

という人間学が学べる素晴しい雑誌があります。
10万人の以上の読者がいますが、本屋さんでは買うことができないので、
知る人ぞ知る雑誌かもしれません。

私自身との出会いは12年前になりますが、この雑誌から学んだことは計り知れません。
ですので、この雑誌を広めるのが私のささやかな恩返しでもあったのですが、
今年は図らずも登場させて頂く機会を得ました。内容は

「20・30代のための人間力養成講座in福岡」

1000人以上の読者の皆さんの前でスピーチをさせて頂いたものの報告記事になります。

http://www.chichi.co.jp/kiji/2016_20_30/result/

スピーチ内容については、以下にアップしていますが、色んな意味で意義深い機会となりました。

http://e013.dgblog.dreamgate.gr.jp/e122414.html


【2位】恩師の逝去

今年9月24日に人生の師との悲しい別れがありました。

私にとっては、実の父を亡くした時と同じくらいのショックで、
悲しみにくれました。

2位としていますが、順位は付けられない、というのが本当の気持ちです。

想いは以下に記しました。

http://e013.dgblog.dreamgate.gr.jp/e122294.html


【1位】福知山公立大学への移籍、福知山市への移住

縁があり、5年間務めた公立大学(京都府立大学)から公立大学(福知山公立大学)に本務校が変わりました。

と同時に、住居も京都市から府北部(福知山)へと家族で移住しました。

想いは下記に記しましたが、毎日が地域創生、本気で地域創生の日々です。

http://e013.dgblog.dreamgate.gr.jp/e122347.html


というわけで、本年も大変お世話になりました。

来年もどうぞよろしくお願いします。


平成28年12月31日

杉岡 秀紀 記  

Posted by 杉岡 秀紀 at 00:00Comments(0)杉岡日記より

2016年11月26日

京都・あやべスタイルと地方創生

いま綾部に良い風が吹いている。
もちろん風にも「追い風」と「逆風」があり、ただ吹いていれば良いというものでない。
ご多分に漏れず綾部も人口減少の波にさらされている。人口は35,000人を切った(11月1日現在で34,586人)。
その意味においては「追い風」とともに「逆風」も吹いている、というのが正確だろうか。
しかし、明らかに逆風よりも強い「追い風」が吹いているのが私の実感である。

その最新の「追い風」となったのが今月発刊された

『驚きの地方創生〜京都・あやべスタイル』(蒲田正樹、扶桑社新書、2016)

サブタイトルは

「上場企業と半農半Xが共存する魅力」

本からも抜粋しつつ、少し綾部の魅力をフレーズ的に記してみる(本にはないことも記載)。

①京都府最大級の古墳(私市円山古墳)がある(しかも古墳の下に高速が通っている)。
②国宝(聖徳太子開創の光明寺仁王門)がある。
③足利尊氏の産湯に使った井戸がある。
④平家の落人が隠れ住んだと言われる地域(黒谷)があり、和紙が有名である(地元学校の卒業証書も黒谷和紙)。
⑤大本教や合気道の発祥の地であり、精神性が高い。
⑥お茶,お米、イノシシ・鹿などのジビエ、栗や黒豆、北大路魯山人が絶賛した鮎など美味しい食がある。
⑦グンゼの発祥の地であり、現在綾部本社やバラ園、記念苑がある。また、精密ねじのトップメーカー日東精工の本社があるなど上場企業の本社がある。
⑧京セラ、カルビー、住友理工などの全国的にも有名な企業が入る工業団地がある。
⑨FMいかる、あやべ市民新聞など地域に溶け込み、信頼されているローカルメディアがある。
⑩星がきれい。スターウォッチングができる天文館(パオ)もある。
⑪全国に先駆けて「世界連邦都市宣言」をし、現在234都市に広がっている。
⑫2006年に水源の里条例を制定し、日本で一番少ない水源の里4人の古屋の地域づくりは全国的に注目される
(住民現在170自治体が参加する連絡協議会の事務局も担っている)
⑬半農半Xという生き方を提唱した塩見直紀さんがおられ、全国、世界に半農半Xのコンセプトを発信
⑭若い世代や手に職を持ったIターン者がどんどんと転入しながら、新しい地域づくりに励む地域(志賀郷)がある。
⑮「森の京都」の地域として、木材市場や加工場、また小学校の空き校舎を活用した里山交流センターがある。


といった具合である。まだまだあるが、これくらいで十分すごさは伝わると思う。

とかくこうした魅力を全国に発信してくれたのが鎌田さんの綾部本であった。


さて、そんな綾部を舞台に今月23〜25日に総務省の外郭である(一社)地域活性化センターと一緒に

「地方創生実践塾」

https://www.jcrd.jp/index.php?option=com_content&view=article&id=1394:平成28年度第8回地方創生実践塾_京都府綾部市「地域資源を最大限生かした企業・npo・市民・行政協働のまちづくり」&catid=87:practice&Itemid=609

を企画させて頂いた。

主任講師は私が務め、これまでの綾部での演習経験をベースに全国の自治体職員向けにアレンジを加えて、
とかく綾部を5感で触れられる機会をつくらせてもらった(上記で言うと⑥⑦⑨⑫⑬⑮)。

その名(タイトル)も

「地域資源を最大限活かした企業・NPO・市民・行政のまちづくり」

幸いすぐに定員(36名)が埋まり、キャンセル待ちも出た。概要は以下のとおり。

【11月23日(祝・水)】
12:30~13:00 受付(グンゼ記念館)
13:00~13:05 開講式
13:05~13:50 講義1 松原哲也 氏 / 朝子直樹 氏(綾部市職員)
           「綾部の地域振興施策~定住促進と水源の里」
13:50~14:50 フィールドワーク1 グンゼ㈱ 「グンゼ記念館の見学」
14:50~16:00 講義2 塩見直紀 氏(半農半X研究所代表)
           「地域資源の見つけ方/新しいコンセプトのつくり方/情報発信方法について」
16:00~16:45 講義3 杉岡秀紀(福知山公立大学准教授) 「フィールドワークとソーシャルデザイン」
17:30~19:30 交流会 ※山﨑市長も参加

【11月24日(木)】
8:30~ 9:00 講義4 朝倉 聡 氏 「綾部市里山交流研修センターでの校舎活用」
9:15~10:00 講義5 伊東宏一 氏(京都丹州木材協同組合理事長) 「京都丹州木材市場について」
10:00~10:10 フィールドワーク2 同上 「木材せり市(秋の特別市)の見学」
10:50~11:50 フィールドワーク3 山城睦子 氏(黒谷和紙協同組合専務理事) 「『黒谷和紙工芸の里』の見学」
12:10~13:30 昼食
14:00~17:00 フィールドワーク4 渡邉和重 氏(古屋自治会長) 「『水源の里・古屋』の見学と交流」
18:00~19:00 夕食

【11月25日(金)】
8:30~ 9:00 講義6 村上 正 氏(空山の里理事長) 「地域の売店を守る~『空山の里』の取り組み」
9:00~ 9:45 講義7 長島啓子 氏 (京都府立大学助教)「GISを活用した森林・林業の新たな情報戦略」
9:45~10:30 講義8 宮藤久士 氏 (京都府立大学教授)「新たな木材・木質バイオマス利活用の活性化策」
10:30~12:00 ワークショップ 青山公三 氏(京都府立大学京都政策研究センター長) & 中越 豊 氏(京都府) 「森の京都のさらなる活性化策」
12:00~12:05 閉講式
12:05~12:15 フィールドワーク5 「『空山の里』見学」

3日間で出たキーワードをざっと記してみよう。

・水源の里 
・上流・下流 
・郡是 
・日東精工 
・世界平和宣言 
・波多野鶴吉
・前田正名
・川合信水 
・半農半X 
・コンセプト 
・フィールドワーク 
・ソーシャルデザイン 
・小学校活用 
・丹州材 
・海は森の恋人 
・黒谷和紙 
・限界集落 
・とちの実 
・先人の知恵 
・諦めない 
・極楽 
・空山の里 
・GIS
・森林情報 
・適地適材 
・バイオマス 
・CLT 
・森の京都
・空山の里
・フューチャーデザイン


これらの多くは本来一つ一つを丁寧に掘り下げるべきくらいの大きなキーワードであろう。
しかし、バラバラに感じるのではなく、シャワーのようにキーワ―ドのシャワーを浴びることで
初めて見えてくるものもある。

それがまさに冒頭で述べた

「綾部に吹く風」

というものなのである。


ここで全体をコーディネートさせて頂いた立場から3日間の学びを私なりに3点ほど整理してみたい。

①お腹と背中、表裏、陰陽

1点目は地域は常に「お腹と背中(表裏、陰陽)を見ないといけない」ということである。

たとえば、綾部にはこんな言葉がある

「上流は下流を想い、下流は上流に感謝する」

これがまさに水源の里の語源にもなっている。

この哲学は宮城から生まれた

「森は海の恋人」

とも通底するものがある。とかく片方だけから見るのは危険であるという警鐘でもある。

このことは地方創生とて同じことで、東京から見れば「地方創生」かもしれないが、
地方から見れば「地域創生」「地域づくり」、もっといえば「日常」に過ぎない。

限界集落や人口も同じである。数だけでれば限界に見えるかもしれないが、
綾部の古屋の渡辺さんのお話は平均80歳を越え、働き続けるおばあちゃんたちの背中を見ると、
そこには

「可能性集落」

と呼びたくなるヒントがたくさんある。

つまり、人口も数だけで見るのではなく、

「人生の数」

と見なくてはいけないのである。


②ビスマルク名言の修正

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」

この言葉は宰相ビスマルクの言葉であるが、綾部というまちはまさに
歴史に学び、歴史を活かし、歴史をつくっている。

しかし、綾部では、過去から現在のベクトルだけに留まらない。

グンゼ博物苑に行くと、そこには50年後の綾部を描いた素晴しい絵を見ることができる。
すなわち、単に過去だけでなく未来、換言すれば

「フューチャーデザイン(7世代後の社会を考える)」

もかいま見ることもできるのである。

その意味ではビスマルクの言葉も

「愚者は経験に学び未来をつくれず、賢者は歴史に学び未来をつくる」

と言葉を補った方が良いのかもしれない。


③最後はひと、最後は気

「まちづくりはひとづくり、まちづくりはファンづくり」

と昔から言われる。その通りである。

先ほどのキーワードの中にも多くの人物名が出てきているのはその証左であろう。

しかし、もう一歩踏み込むならば、

「最後は気」

ということも言えるのではないだろうか。どれだけ素晴しい能力をもった人や条件が揃っていても、

「やる気、勇気、元気、根気、負けん気」

がなければ資源も人も活かしきれない。京セラ創業者の稲盛和夫氏もかつて

「情熱×能力×考え方が重要」

と言ったが、この考え方がまさに「気」に通ずる。

この点については、古屋自治会長の渡辺和重さんが実に面白いことを仰っている。

「限界をアルファベットで書くとGENKAIですよね。このA、すなわち「諦め」を取ったらどうなりますか?GENKI(元気)になるでしょう」

ウィットにも富み、至言である。

まさに実践者、現場ならではの実感が込められていると思う。


言うまでもなく、この研修だけだけで、参加者のマインドが全て変わる訳でないし、
またただちにその地域が180度変わるわけではない。そんな打ち出の小槌はこの世に存在しないし、
存在すべきでもない。

しかし、何かしらの「次に一歩踏み出すための気づき」が提供できたのであれば、企画者冥利に尽きるというものである。
何よりそのような資源(たから)で綾部はじめ府北部は溢れている。


最後に冒頭のあやべ本の帯に寄せた藻谷浩介氏のコメントで締めくくるとしよう。
これが今回の綾部における研修、そして綾部の魅力を一言で言い当てている。

「綾部は世界のどこに出しても胸を張れる、全国でも数少ない街。ここに日本と世界の先端があります」


追伸

企画段階からお世話になった地域活性化センターの皆さん、地元のコーディネートと会場提供を頂いた里山ねっと・あやべさん、
講師役をお務め頂いた皆さんにこの場をお借りして、改めて感謝申しあげます。

平成28年11月26日
杉岡 秀紀 記

  

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2016年11月20日

【書評】『未来につなげる地方創生〜23の小さな自治体の戦略づくりから学ぶ〜』

内閣府地方創生人材支援支援制度車編集チ–ム編『未来につなげる地方創生〜23の小さな自治体の戦略づくりから学ぶ〜』日経BP、2016 読了。

いわゆる「日本版シティマネージャー」として昨年度実施された地方創生性政策の成果と課題をとりまとめた書。

横浜や氷見市、うきは市のように、これまで国家公務員や民間人材が自治体職員になった例はないことはないのだが、

①人口5万人未満(全国に約1200)の自治体に派遣
②国家公務員や民間企業だけでなく大学教員も含めて派遣
③副市長からアドバイザーまで多様なポストで派遣

という例はなかった。

その数127自治体(事例)。

これを多いと見るか、少ないと見るかは評価が分かれるだろう。また、そもそも1年という短いタームかつ、戦略づくりが中心であり、実施部分が手薄であるとの指摘は免れないだろう。

しかし、本書を拝読すると、少なくとも紹介されている23の自治体では「よそ者」ならではの活躍があり、何かしらの良い変化(成果)が起きているようだ。

残り100ちょっとの成否も気になるところであるが、ともあれ「まちづくりはひとづくり」「まちづくりはファンづくり」の立場から見れば、人に投資をした政策的意義は一定合ったのだと思う。

あとはこうした点を線にすべく、国側も地域側も単発で終わらせない工夫が必要である。

むしろ試されるのはこれから、と言えるだろうか。

https://www.amazon.co.jp/未来につなげる地方創生-23の小さな自治体の戦略づくりから学ぶ-内閣府-地方創生人材支援制度-派遣者編集チーム/dp/4822235726/


  

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2016年11月19日

みんな×みらい×みえるまち

ロボット職員 
庁舎不要 
バーチャル授業 
自動運転による
泳げる川
イルカが見える海
草刈りルンバ
芸能人に人気の豆ッコ米 
制服が着物
みんなで子育て・孫育て
高齢者・障がい者という言葉を無くす 
高齢者シェアハウス


これらは全て一つの自治体の職員から出てきた

「24年後のまちの未来像」

である。非常に創造的な視点、アイディアばかりである。

現在、京都府与謝野町では未来思考の面白い動きが起きている。

対象は行政の最上位計画に位置づけられる総合計画づくり。
与謝野町は3町の合併で出来たまちであるが、来年度に第一次総計が終了することを受け、第二次総計では、

①みえるまちのためにつくる(創造的計画)
②みらい志向でつくる(長期的計画)
③みんなでつくる(総合的計画)


という3つのコンセプトで総計づくりを始めているのだ。
(私は総合計画策定アドバイザーとして伴走している)

今年度は③みんなでつくるを実践するために、まずは職員のコアチームをつくるべく、
約30名の若手職員に集まって頂き(町長から正式に委嘱)、

①(自治や最近の手法を)学ぶ
②(未来思考を)体感する
③(当事者意識や能力を)高める


をキーワードに月一回のペースで職員研修を進めている。

①については、先月、市長経験もある福知山公立大学の富野暉一郎副学長から「総合計画と職員参加、住民参加」について、
高知工科大学教授の西條辰義教授から「フューチャーデザインとは何か」について、そして、
issue+designの白木彩智さんから「高知県佐川町におけるみんなでつくる総合計画」の取組みについて学べる場をつくり、
基礎的な情報や方向付けを確認した(私も総合計画と人材育成について少しだけレクチャー)。
佐川町については担当職員のお二人と一緒に現地にも話を伺いに行った。

②については、地元のNPOやファシリテーションに定評がある企業のお力も借りながら、
今月から

「第一次総計の未来志向で棚卸し」

を実践している。

原課かどうかよりも、職員一人ひとりの関心に沿って、そして未来思考で
前期計画、後期計画の全30施策を検証するのが最大のポイントである。
言うまでもなく、未来を構想するためにも、まずは過去から現在をしっかりと見る必要がある。

また、③については年が明けてからファシリテーション研修を組み込んでいる。
これは来年度から、住民参加、協働による計画づくりに進めるために
自治体職員自らのファシリテート能力を高める必要があるからである。

さて、そんな枠組みで進む中で、昨日の研修後の交流会で、職人の何名の方から実に嬉しいコメントを聞くことができた。

「未来思考で議論するのはとにかく楽しい、ワクワクした」
「入庁してからこんな本気でまちのことについて語り合ったことはなかった」
「今の仕事を越えて、自分の想いや考え、アイディアを言える場があって嬉しい」


中には涙目で感想を訴えてくれる職員の姿も。

ここで考えたいのは、この感想が意味することは何かということである。
すなわちそれは、

①職員の多くは自分なりの様々な思いや考え、アイディアがあるにも関わらず、それを表現したり、伝えたりする場が少ないのではないか?
②職員の多くは自らの業務に忙殺され、また目の前の住民の対応、目の前の課題解決をすることだけで妥協的満足しているのでないか?
③職員の多くは志や想いを同じくする仲間が庁内外にいるにも関わらず、課や組織を越えて、つながる機会が少ないのではないか?


とのシンプルな問い、それでいて本質的な問題意識である。

もしそれが現実とするならば、本当にもったいないことだと思う。

職員の人材育成は人事課や職員課マター、またOJTこそが最大の人材育成である、との声が聞こえて来そうであるが、
それはそれで必要として、私言いたいのは、

「まち全体のことを構想するまちづくり条例や総合計画、総合戦略づくりこそ人材育成の最大のチャンス」

ということである。

なぜなら、この計画(条例)づくりこそ、立場や年齢を越えて、対等に議論できる最大のチャンスであるからである。

さらに言えば、過去から現在の時間軸だけで議論すると、どうしても人生の先輩の方が発言力が大きくなりそうであるが、
未来思考の視点を入れることが出来れば、むしろ若い人ほど未来に責任を持って議論でき、全体としてもバランスがよくなる。

そして何より、実践してみて初めて実感できることであるが、

「未来を語ることは楽しく、議論は実に創造的になる」

何事も楽しくないと続かない。
これは趣味でも仕事でも同じである。

ぜひこれからの総合計画等を作られる自治体においては、
楽しい未来をつくるためにも、計画づくりに未来思考と人材育成の視点を入れることをお薦めしたい。

最後にこれは与謝野町だからできるのでは?という質問が聞こえてきそうなので、一言付言をしておきたい。

確かに与謝野町では私よりも若い町長(山添藤真町長)が誕生し、新しい風が吹き始めている。
しかし、私が感じるのは、それはあくまできっかけであり、職員の皆さんこそが
その新町長の志に共感し、むしろ新しい風を吹かしているのではということである。
そして、徐々にだがその風に共感する住民の皆さんの輪も広がりつつある。

こうした動きを1自治体で終わらせるのはもったいない。

すべてはみんなのまち、みらいのまち、みえるまちのために。

平成28年11月18日

杉岡 秀紀




  

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2016年11月14日

ルポ「合併しなかった自治体の将来を考えるシンポジウム@産山村」

全体コーディネーターであった故今川晃先生に生前中にグループ討論のファシリテーターを依頼されたご縁で、
去る11月13日に熊本県産山村で開催された「合併しなかった自治体の将来を考えるシンポジウム」に参加してきた。
テーマに興味があることはもちろん、今川先生との約束を果たす意味もある。
ここではそこでの議論を少し紹介したい(14日も開催されたが参加できなかったため一日目のみ)。

13日は市原正文村長による開催の挨拶の後、実行委員長であり、九州大学名誉教授の木佐茂男氏から趣旨説明があった。
木佐教授によれば「合併したまちについてはいくつか論文があるが、合併しなかったまちの検証論文は殆どない。
したがって、その部分を検証する必要がある」という。いわずもがなこれが今回の開催主旨である。

周知のとおり、平成11年4月から平成22年3月までの時限法として施行された「市町村の合併の特例等に関する法律」
に基づき、国は合併特例債や地方交付税の合併算定替えなどの財政支援策をはじめとするさまざまな優遇措置を示した。

この「平成の大合併」により、平成11年には3232あったわが国の市町村の総数は、平成28年現在で1718にまで大幅に減少した。
他方、他市町村との合併を選ばず単独で生きていくことをきめた自治体も多かった。
今回訪れた熊本県産山村も平成15年に単独で生きていくことを決断している。

合併を選ばなければ地方交付税の減少により生き残りは難しいとまでいわれた小規模自治体。
産山村の場合はここにさらに「非合併」という修飾語がつくのだが、合併から13年。
本当に自治体としての生き残りは難しくなったのであろうか?

事実は想定より奇なりである。

産山村村議会議員の渡辺裕文氏及び地元熊本県立大学の小泉和重教授の報告によれば、
産山村におけるこの10数年の財政状況は、歳出規模=拡大、積立金=増加、地方債残高=現象、という結果であった。
つまり、当初の国(総務省)のねらいや懸念と現実は全く違う結果になったのである。
このことは県内の近隣市町村にも同様のことが言え、しかも、合併・非合併の差もほぼなかったという。
あの合併とは一体何だったのだろうか?まさに狐につままれた気分になる。

この後も貴重な報告が続いた。
小泉教授と同じく、地元熊本の大学教員である原島良成准教授からは行政法の専門家の立場からの報告があった。
中でも印象的だったのは、「自治体はつまるところ権力(機構)。その意味で行政と住民は本来距離を置くべき」、
「小さい自治体では職員だけでなく、議員の役割がより重要になる。村民自治の第一義は議会が担うべき」という提案。
確かに地方自治は二元代表制であるので、この議論は理論的、理念的にはよく理解できる。
しかし、実際の住民参加や市民参加の多くは行政が仕掛けるものが多いわけで、翻って、
「行政<議会」で住民参加を進めているという事例はあまり聞いたことがない。
その意味である種で盲点をつかれる問題提起であった。

前半最後は、立教大学の原田晃樹教授からの「コミュニティ・地域活性化の面」からの報告。ここでは「地域活性化は大事。しかし、飽和状態にあるコミュニティの活動にさらにがんばりを強いると悪循環に陥り、
取り組めば取り組むほど疲弊する面にも目を向けないといけない」「リーダー待望論は理解するが、俗人的リーダーは持続可能でない」との指摘があった。
今回のシンポジウムの開催にあたり、先の渡辺議員が取った村民アンケートにも「このまちにはリーダーいない」「産山村の再生にはリーダーが必要」
との意見が多く散見されただけにこの指摘はまさに今後の地域再生、地域づくりの警鐘となりそうだ。

最後はこれらの報告を受け、5グループ(1グループ10人前後)に分かれてのグループ討論を行った。
グループ討論テーマ及びファシリテーターは以下のとおり(筆者はCグループを担当)。

A:合併しなかったちいさな自治体の財政・財務上の課題・悩みは
(増田知也・同志社大学政策学部 助教)
B:ちいさな自治体のよいところを徹底的に洗い出そう
(高木正三・ふるさと食農ほんわかネット・『ドリーム』編集長)
C:地域の暮らしと文化を支える地域共同体をこれからどうするか
(杉岡秀紀・福知山公立大学地域経営学部 准教授)
D:地方創生・ちいさくてもみんながイキイキと暮らせる村づくり
(堀田和之・岐阜県土岐市職員、同志社大学博士課程)
E:震災復旧・復興にかかる連携と課題
(木ノ下勝矢・特定非営利活動法人 レスキュー・サポート九州代表理事)
各グループ報告…16:40~17:05

対話の時間が1時間前後しかなかったため、十分な対話までは至らなかった面もあるが、
最後の全体共有では以下のような意見、提言がなされた。

いずれも重要な視点で、産山村に限らず、1万人未満の小規模自治体、
とりわけ非合併の自治体には通底する内容と言えるのではないだろうか。

(1)産山ではこれからも合併を前提とせず、「小規模自治体」である強みを活かしながら、
  健全な行政運営を維持継続することはもとより、県や他市町村とも連携しながら村民自治、団体自治
  を進化、深化させていくべきではないか?【グループA】。

(2)産山村ならではの良いところである、山、森林、牧場を代表とする「豊かな自然」や、赤牛に代表される「豊かな食」、
 そして何より「豊かな人間関係(村民同士との距離の近さ、役場職員や議員と村民との距離の近さなど)」の価値を再認識し、
 これら地域の宝により磨きをかけていくべきではないか?【グループB】。

(3)がんばる特定の個人や地域、自治体の努力が徒労に終わらないように、地域の課題解決を担うNPOや若者による住民団体と
  積極的に連携しながら新しいスモールビジネスを創出し、まちに雇用と人財を呼び込む仕掛けづくりに励むべき。
  また住民同士が未来を語り合える場をつくり、村民主導により持続可能な地域共同体のあり方も模索し続けるべきではないか?【グループC】。

(4)生き生きとした地域づくりのために、行政は政策づくりのプロセスに必ず「村民参加」の視点を入れ、村民の代表である議
  会とも連携しつつ、「村民ファースト」の政策づくり、そして、人材育成に努めていくべきではないか?【グループD】

(5)先の熊本地震や阿蘇山噴火で培った防災や減災についての教訓やノウハウを日常の生活に活かすとともに、自助・共助・公助の役割分担に
  基づいたコミュ二ティづくりに励むべきではないか?また、この防災、減災の重要性を次代に継承する必要があるのではないか?【グループE】。

ともあれ、合併、非合併にかかわらず、人口減少や少子高齢化、地域産業の衰退、公共施設マネジメントなど、
地域課題は年々多様化、複雑化の様相を呈しており、ここ産山村も例外でない。

ひるがえって、地域の宝をいかして活力のある魅力的な村づくりをいかにして実現していくかを、
地方創生ともからめて「官・学・民」の知識と知恵と体験とを総合して、はばひろく展望する時が来ているとも言える。

その意味で、市町村合併や地域自治に関心を持つ産山村の村民、役場(職員)、議会(議員)、そして全国から研究者が集い、
2日間に渡り、様々な報告や討議、また多様な意見交換が出来た点は有意義であった。

明日はこれらの問題意識を元にさらなる議論が交わされ、最終的には「産山村宣言」としてまとめられた後、
村内外に発信されると聞く。

「スモール(ヴィレッジ)・イズ・ビューティフル」という本を著したのはシューマッハであっただろうか。
まさにこの言葉は産山村にお似合いのスローガンである。

最後になるがこうした概念や価値観、様々な気づきやヒントを教えてくれた産山村の皆さん、参加者の皆さん
そして、何より実行委員長の木佐先生、紹介くださった故今川晃先生に心から感謝申し上げたい。


平成28年11月14日

杉岡 秀紀


(参考)
当日のプログラム
【11月13日(日)】
(1)受 付 13:30~14:00
(2)主催者挨拶 14:00~14:05
(3)シンポジウム開催
① 趣旨説明…木佐茂男(ふるさと食農ほんわかネット・九州大学名誉教授)14:05~14:10
 
② パネルディスカッション…14:10~15:30
ア、 コーディネーター:今川晃(同志社大学教授)
(今川教授が9月24日急逝されたため、実行委員会代表または他の研究者が代行)
イ、 シンポジスト
小泉和重(熊本県立大学教授)…自治体財政からの面
原島良成(熊本大学准教授)…地方政府の自律の面
原田晃樹(立教大学教授)…コミュニティ・地域活性化の面
渡辺裕文(産山村村議会議員)…合併しなかった満足と不満

③ グループ意見交換会
(ファシリテーター=議論を進行・充実させる係を置きます。カッコ内は各グループのファシリテーター)
A:合併しなかったちいさな自治体の財政・財務上の課題・悩みは
(増田知也・同志社大学政策学部 助教)
B:ちいさな自治体のよいところを徹底的に洗い出そう
(高木正三・ふるさと食農ほんわかネット・『ドリーム』編集長)
C:地域の暮らしと文化を支える地域共同体をこれからどうするか
(杉岡秀紀・福知山公立大学地域経営学部 准教授)
D:地方創生・ちいさくてもみんながイキイキと暮らせる村づくり
(堀田和之・岐阜県土岐市職員、同志社大学博士課程)
E:震災復旧・復興にかかる連携と課題
(木ノ下勝矢・特定非営利活動法人 レスキュー・サポート九州代表理事)
各グループ報告…16:40~17:05
 
④ まとめ(総括)…原田晃樹 17:05~17:15

【11月14日(月)】
(1) みんなで語ろう…9:00~10:00
(2) 産山宣言
*11時解散の後、地元ならではのエクスカーション企画。




  

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2016年11月13日

「職業=公務員+◯○」を標準モデルに

去る11月11日、長野県塩尻市から塩尻市の職員である

「山田崇さん」

に舞鶴にお出で頂きました。

山田さんはこの業界では有名人で、

「元ナンパ師発の地域に飛び出す公務員」

として全国的に名を馳せた方です。

具体的には、商店街再生のために自らが空き店舗を6つ借り(もちろん私費)、
行政としての商店街政策を有効なものにするために、そのヒントやエビデンスを直接集めつつ、
そこで、市民としての顔で直接実践もしている地域に飛び出す公務員です。
(現在は政府の地域活性化伝道師にも認定)




山田さんとの出会いは今から3年前、2013年の

「日本協働政策学会」
http://www.kyodoseisaku.jp/02/kenkyu.html

でした。私もパネラーとして登壇していたのですが、
確か2日目に講演をされ、その時に

「世の中にはここまで出来る地方公務員がいるんだ」

と衝撃的な出会いをしたことを昨日のことのように思い出します。

そのご縁から翌年2014年には前任校の講師としてお招きし、

「地域に飛び出す公務員セミナー」

http://www.kpu.ac.jp/contents_detail.php?co=ser&frmId=4379

という、京都でも山田さんのような働き方を追求する人を
広めたい、応援したい、という特別企画を作りました。

そして、今年2016年は

「ソーシャルイノベーションサミットー人を巻き込むモテる公務員と未来を創る–」

http://www.city.kyoto.lg.jp/sankan/cmsfiles/contents/0000198/198015/SILK_summit_160716.pdf

ではたまた京都でご一緒させてもらいました。
(良いタイトル付けられましたよね〜)

さて、そんな山田さんをぜひ京都「市」ではなく、京都「府」に呼びたい、いや、呼ぼう!、
というのが11月11日のイベントの概要になります。

「まちづくり=ひとづくり」

と言われて久しいですよね。

だからこそこれまで京都市内で留まっていた超一流の方をお呼びしての企画を府北部で構想し、

「本物に直接触れる、交流する、価値を交換する」

きっかけを創る、というのが私の役割と認識しています。
(山田さんには「こんなに遠いと思わなかった」と言われてしまいましたが笑)

というわけで、ようやく講演内容ですが、山田さん講演から響いた至言は以下のようなものでした。
(中には山田さんが言われた言葉もあります)

「行政をまたない」
「小さいことから始める」
「まずやってみる」
「時間外の意味を考える」
「大事なことは全てナンパから学んだ」
「モテたいから始める」
「目的はあえて決めない」
「一人で円陣は組めない」
「手柄は全部山田くんのもの。失敗したら私のせいにしなさい」
「公務員が元気になれば、地域に元気になる」


これだけ見ても伝わりませんよね?雰囲気を味わいたい方はぜひ下記をご覧ください。
また会う度ごとに進化されていますので、最新の山田さんはぜひ直接お会いしてみてください。

http://logmi.jp/23372

ここで一番注目したいのは

「時間外の使い方」

です。

というのは、ややもすると公務員の世界は

「職務専念義務=兼業禁止」

の思い込み、刷り込みで

「公務員としての自分」

に拘泥し過ぎ、

「二枚目の名刺」

を持つ第一歩を踏み出せていない方があまりにも多いからです。

はたしてこれは政府の

「働き方改革」

や、民間ベースで出てきた

「パラレルキャリア」

の時代にマッチしていると言えるのでしょうか?
公共の世界で言えばこれこそが、これこそが

「地方創生、地域創生」

への最大の一歩になるのではないでしょうか?
このメッセージを山田さんは発しているのです。

しかし、これは実は決して新しい話ではありません。
公務員には3つの顔があると言われますよね?

①公務員
②労働者
③市民

実は、山田さんの活動はこの全ての顔をフルに活用しているだけ、とも言えます。
すなわち、実は

「山田さんこそが標準モデルと見るべきで、山田さんを先進モデルとして見てはいけない」

というのが私の考えです。

というのも、先進モデルと見ている限りは

「あれは彼だからできること」「あれは塩尻だからできること」

と矮小化してしまい、出来ない理由(やらなくても良い)を作ってしまうからです。

事実は逆だと思います。

最小の費用で最大の効果を挙げるためにも、全体の奉仕者として、住民福祉の向上に資するためにも、

「①〜③を意識し、アクションする公務員こそが標準」

と理解すべきと思うのです。

確かに府北部をはじめ、私の周りの公務員の方は

「2枚目の名刺を持った公務員」

が実に多いです。しかし、こういう皆さんは実は役所では変人扱いされたり、
時には冷遇されることもあると聞きます。

ここに風穴を開け、むしろこういう意識を持った方々を標準と捉えられる社会を創りたい。
これが私の今回山田さんを招聘した最大の理由であり、ねらいです。

こういう話をすると、

「自分はPTAや消防団など地域の仕事もしてすでに2枚目、3枚目の名刺を持っている」

と仰る方も多いと思います。それはそれで当然でして、ここでいう2枚目の意味は、
これまでの伝統的な役割や地域の役割に加え、

「その活動を公言し、職場から認められ、まち政策にいかす」
「自治体やまちの枠を越えた活動につなげ、新しいネットワークや風をまちに持ち込む」
「それを匿名ではなく、積極的に名前と顔を出して発信する」

という性格、性質までを帯びたものです。

ともあれ、まだまだ琵琶湖に小石を投げているくらいの取組みですが、
ぜひこの輪を拡げたい、拡げなければ、地方自治の明るい未来はないと思います。

「職業=公務員+◯○」

全国がこんな公務員で溢れれば地域は必ず変わりますよね。

「昔は山田さんとか少数の人の独占物だったけど、今じゃ当たり前だよね」

という台詞であふれる時代が来る日を信じてます。

平成28年11月12日

杉岡 秀紀 拝  

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2016年11月07日

政策コンペの効用

昨日は「日本地方政治学会・日本地域政治学会」(2つの学会のように見えるが、これで1学会)の
2日目に実施された学生による政策コンペ

「現代政治コンペ」

に審査委員長として参加してきた。

より正確には、元々「司会」として参加するだけの手はずだったのだが、審査委員長であった私の恩師の急逝を受け、
はからずも司会だけでなく、「審査委員長」という大役も兼任することになったのである。

私ではどう考えても恩師の代わりは務まらないのであるが、恩師への孝行ということで、
恩師になり代わり何とか務め上げることができ、安堵している。


それはさておき、今回のコンペも実に面白かった。

実は私も政策コンペと名のつくものは、これまで4つくらい関わって来ており、

①日本公共政策学会学生政策コンペ
http://ppsa.jp/prize_2.html
②全国大学まちづくり政策フォーラムin京田辺
http://www.kyotanabe.jp/soshiki/4-10-0-0-0_9.html
③京都から発信する政策研究交流大会
http://www.consortium.or.jp/project/seisaku/conference/2014-1
④京都丹波観光プランコンテスト
http://www.kpu.ac.jp/contents_detail.php?frmId=4576

などに学生と一緒に出場し、賞もいくつか頂いてきた。
なので、「出場する側」「引率する側」としての楽しみと苦しみは痛いほど分かっている。

また、この9月に恩師や研究仲間と一緒に

『自治体政策への提言〜学生参加の意義と現実〜』
http://www.hokuju.jp/books/view.cgi?cmd=dp&num=995&Tfile=Data

という政策コンペを主題にした本を共著で上梓させて頂き、学生による政策コンペの実際を客観的にもまとめさせてもらった。

その意味においては、教育ツールとしても、研究テーマとしても個人的に関心が高いのであるが、
今回の「現代政治コンペ」もこれまでの政策コンペに負けじと劣らぬ面白さがあった。

今年のテーマは「18歳選挙権と主権者教育」の1テーマであったのが、それでも10者10様のプレゼンが聞かれた。

ここでせっかくの機会なのっで、改めて今回の現代政治コンペから抽出できる「政策コンペ」の効用を考えてみると、
大体以下の7つに収斂するのではないだろうか。

①共通テーマがあることで、プレゼンする方も聞く側も論点がシャープになり、展開しやすい。
②同じ学会であったとしても指導教員の専門はバラバラであり、それぞれ多様なアプローチがあることを確認できる。
③全国から複数の大学(生)が参加し、コンペ中は競争関係にあるが、終わればノーサイドで大学を越えた友人を得る機会となる
④自分のゼミを越えた教員や学生から助言や感想をもらうことにより、いつもと違う角度からのフィードバックを得られる。
⑤聞いている教員や学生自身も、「なるほど、その切り口(アイディア、アプローチ等)があったか」とのアイディア発見の場となる。
⑥学生にとっては、政策コンペに参加する過程で、調査研究力を向上させられ、卒論などの予行練習になる。
⑦チームとして参加することで、調整力や対人コミュニケーション力やプレゼン力も向上する。

これ以外にももちろん突き詰めて考えればまだ他にもあると思うが、主だったものはこれぐらいであろう。

ともあれ、今回は審査側のみで引率がなかった分、緊張はなかったが、
逆の(審査される)立場だと、教員サイドも審査発表の瞬間はドキドキとなる。

今度関わる政策コンペはどういう形で関わるか分からないが、関わるからにはトップを目指して
学生たちと汗をかきたいと思う。

以上、少しだけ高校野球やオリンピックの審査員や監督の気持ちを理解できた
杉岡による政策コンペレポートでした。


平成28年11月7日

杉岡 秀紀 記

  

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2016年10月17日

「みえるまちをつくる」ために

去る10月15日に勤務先の第2回開学記念講演企画として与謝野町は「野田川わーくぱる」で

・与謝野町クリエイティブディレクターでデザイナー田子學さん
・与謝野町の山添藤真さん


と鼎談させて頂きました。

私と与謝野町とは、昨年度、昨年度は地方版の地方創生の総合戦略

「まち・ひと・しごと創生有識者会議委員(座長)」
「リベラルアーツ事業(講師)」

に関わらせてもらったご縁で、今年は

「総合計画策定審議会委員(会長)」

としてまちの計画づくりに関わらせてもらっています。

ここでは前半部分の田子さんのレクチャーから「なるほど」と思ったことを
備忘録がてら収録しておきたいと思います。

(田子學氏)
・デザインとは「人間の行為をよりよい形でかなえるための創造的計画」。単なる「意匠」ではない。
・デザインと「システム」と「ブランド」は一体である。したがって、「マネジメント」の視点が重要になる。
・地域創生を「土産づくり」で終わらせてはいけない。「暮らしと産業の本質を見つけること」にいかに近づけるかが重要。
・「かっこいいまち」もその一つになり得るし、「衣食住」、とりわけ「6次産業」こそ本質。
・「みえるまち」とは、海がみえるまち、個性がみえるまち、安心安全がみえるまち、多様性・寛容性がみえるまち、おもてなしがみえるまちなど、様々なまちの資源がみえるまちのこと。
・デザインマネジメントにより「個別最適から全体最適へ」。
・「なぜ」「本質」を考え続けることが重要。


以上です。いずれもまちづくりの大事な視点ですね。

このレクチャーを受け、私が後半の鼎談でお聞きした最大の質問は

「では、誰のためのみえるまちか?そして、みえるまちの先にあるものは何か?」

ということでした。

答えは田子さんも町長も明快で

「みえるまちの対象は、町内だけでなく町外の皆さん、そして未来の町民である」
「みえるまちの先にあるものは、自分たちのまちを誇りに思う意識と文化づくり」


ということでした。

全く同感です。すなわち

「まちづくり=ひとづくり」

とよく言われますが、もう一つ大事な視点は

「まちづくり=ファンづくり」

であるということですね。

というのも、

「自分のまちを好きになることなしに、まちづくりはあり得ない」

ですから。


これからも「みえるまち」の見える化、魅せる化の挑戦は続きます。

私も微力ながら、その伴走、後方(広報)支援をさせて頂きます。

皆さん、ぜひ「みえるまち・与謝野町」に引き続きご期待ください。

(参考)与謝野町「みえるまち」特別サイト
http://yosano-branding.jp

平成28年10月17日
杉岡 秀紀 記


  

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2016年10月08日

『致知と私』

『致知と私』

杉岡 秀紀

 雑誌致知を教えてくれたのは2人の「父親」でした。1人目は実の父親。父親は私の最も尊敬する人であり、仕事も趣味も大事にし、家族思いで、何より私にとって見本となる「教師」でありました。そんな父親が何の前触れもなく私の目の前からいなくなったのは、今から17年前の1999年12月24日。忘れもしません、世間はクリスマスイブ。家族と一緒に過ごす特別な日でした。死因は急性心不全。皮肉にも知命の50歳。当時私は19歳でした。卒業式も、成人式も、結婚式も、孫の顔も見ないまま父親は突然天国へと旅立ちました。

 母にとってはさらに厳しい試練が待っていました。葬儀場の都合で葬式の日程がずれ、何と自分の「誕生日」が夫の葬式になってしまったのです。偶然か必然かは分かりません。とにかくあまりにも受け入れがたい神の仕業でした。そして、その後追い打ちをかけるように母は足を悪くし、仕事を辞めざるを得なくなり、気持ちもふさぎこみ、家に引きこもりがちになってしまいました。

 私はというと、これから家計を支えなければならないのにまだ大学1年生。すでに兄2人は社会人でしたが、この時ばかりは自分がお金を生み出せない存在であることを恨みました。しかし、私が入学した大学は亡き父親の憧れの大学であり、この入学が最後の父親との約束であり、数少ない恩返しでもありました。だからどうしても辞める訳にいかなかったのです。とはいえ、現実として、誰も学費を払ってくれません。そこから勉強の傍らで自ら学費を稼ぐための生活が始まりました。

 その後5年の歳月が経ち、父親のこともようやく整理がつき始めた2004年3月のこと。お世話になっていた知人から宮崎に面白い人がいるから一緒に逢いに行こうと誘われました。その面白い人とはコープ宮崎の亀田高秀専務理事(当時)。そう、この亀田さんこそ私に雑誌致知を教えてくれた恩人であり、その意味で2人目の父親と仰ぐべき人となります。コープ宮崎はすごい組織でした。役員の皆さんもレジのパートさんもそのご家族もみんなコープ宮崎の理念について日常から語るのです。その発信源が亀田さんであり、そのリソースの一つが雑誌致知ということでした。かくして私は致知という不思議な雑誌に釘付けになりました。その後雑誌致知を毎月読みふけるうちに、不思議と人間の死というものをポジティブに捉えられる瞬間(とき)がやって来ます。それが森信三先生の「人生二度なし」という言葉との出会いでした。まさにそれは言霊を感じた瞬間であり、その影響で父親の死というものを受け入れることができるに至りました。
 
 この時期辺りから私は自分にとって大事な人に機会を見つけては雑誌致知を伝えるというささやかなアクションを起こすようになりました。その一人が現在致知出版社にいる岡田直樹くんです。彼へのバトンは思わぬ形で実を結びます。何と彼は当時いた会社を辞め、致知出版社に転職することになったのです。そして、そこで人生最愛のパートナーとの出会いもあり、新しい命が今年授かったと聞きます。これほど嬉しいことはありません。というのも、まさにこれこそが父親の死というものが教えてくれた私へのメッセージであり、命のバトンであり、雑誌致知と出会った責任であり、ささやかな恩送りができた瞬間であり、とかく全て重なったからです。

 現在私も一児の父親であり、「教師」を仕事にしています。娘の名前は志を保ち、社会にために役立つ人間になって欲しいという思いを込めて「志保」と名付けました。彼女の19歳の誕生日が来たら、私はこのエピソードを彼女に伝え、自分を動かしてくれた森信三先生の次の言葉を贈りたいと思います。「人間は一生のうち逢うべく人には必ず逢える。しかも一瞬とも早過ぎず、一瞬遅すぎない時に」。                 

※ 本スピーチは、2016年10月8日にソラリア西鉄ホテルで開催された致知出版社主催「第5回の20代30代のための人間力養成講座」で報告したものです。


  

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2016年10月01日

北近畿の創生に向けて

本日より福知山公立大学の教員としての新生活が正式にスタートしました。公立大学から公立大学というのは比較的珍しいキャリアかもですが、地理的にはどんどん北上してますので、すごい変化です笑。

なお、一昨日には市役所で転入届も提出し、福知山市民にもすでになっています。これまでは通いでしたので、気持ちあっても部分的にしか関われませんでしたが、これで微力ながらも、腰を据えて府北部、そして兵庫県北部も含めた北近畿の創生に全力投球できる態勢が整いました。
(とりいそぎ福知山市の2016年度人口における社会増に3人分貢献ですね)

府大在職期間お世話になった皆さま、約5年間本当にありがとうございました。府大での思い出や感謝の気持ちについては書き出したらおそらく止まらないと思いますが、とりあえず別添(府大広報178号、京都政策研究センターニュースレター26号)に書き記しましたので、お時間があればご覧頂ければ幸いです。
とはいえ、は週2コマの非常勤講師と京都政策研究センター特任准教授として関わり続けることになりますので、むしろ引き続きよろしくお願いします、という方が正確かもしれません。

最後にまもなく公開となると思いますが、公立大着任のメッセージも書き記しました。こちらは下記に転載しておきたいと思います。

【転載(ココから)】
(その1)
私は、これまでNPO(きゅうたなべ俱楽部)→企業(株式会社GIZA)→行政(内閣官房)→財団法人(地域公共人材開発機構)→大学(京都府立大学)とセクターを越えて働いてきました(ひとり産学公NPO連携)。また奈良県(平城京)→東京都→京都市(平安京)と3つの都住まいを経て、福知山に移住してきました。これらの経験も踏まえ「周旋」「臨床政策」「地域の教育力と教育の地域力の交歓」という3つのキーワードを大切にしています。

(その2)
近年、地方公務員が主役となって地域を元気にしたり、地域住民が立ち上がって地域づくりを展開したりする映画やドラマが増えました。例えば『県庁おもてなし課(2013年)』『ナポレオンの村(2015年)』は前者の好例でありますし、後者であれば『人生いろどり(2012年)』『WOOD JOB(2014年)』『限界集落株式会社(2015年)』などがその好例です。また、『地域に飛び出す公務員ハンドブック』(椎川忍、今井書店、2012年)や『地域公務員になろう』(稲継裕昭、ぎょうせい、2012年)、『地域公共人材をつくる』(今川晃編著、法律文化社、2014年)など、今までの公務員の枠を越えて活躍する自治体職員を後押しする動きも相次いで登場しています。私の研究対象はまさにここです。すなわち一つは公務員を中心とする「ひと(地域公共人材)」に関する人材育成の研究であり、もう一つはそうした人材が活躍する「まち(自治体)」に関するまちづくり研究です。こうした中で最も重要なのは、やはり「ひと」です。というのも、その計画や戦略を作るのも「ひと」でありますし、また、どれだけ素晴しい計画や戦略を作ってもそれを実行するのは「ひと」であり、その影響を受けるのもやはり「ひと」だからです。では、そういう人材をつくることは可能でしょうか?答えは否です。翻って、できることはそうした人材が育つ環境を創造することに他なりません。ここに大学の重要な意味が出てきます。こうした人材育成、地域づくりのニーズがあればお気軽にご相談ください。ぜひ共に考え、良い汗をかきましょう!
【転載(ココまで)】

というわけで、府北部の皆さん、兵庫県北部の皆さん、そして、公立大の皆さん、これからお世話になりますが、どうぞ宜しくお願いします!

平成28年10月1日
杉岡 秀紀 拝





  

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2016年09月26日

哀悼:今川晃先生

私の恩師、今川晃先生(同志社大学政策学部教授)が2016年9月24日の未明に急性心筋梗塞で急逝されました。。
(ゼミの合宿中(琵琶湖リトリートセンター)で眠っている間に発作が起き、そのまま永眠されたとのことです…)

あまりの突然の知らせに言葉を失い、頭の中が真っ白になってしまっております。

19歳の時に実の父親を突然亡くした時に近い、頭をバットで急に殴られた、そんな感覚です。
しかも死因まで父と同じということで、2人の「父」「人生の師匠」の命を奪った急性心筋梗塞という病気を正直恨んでいます。

今川先生は私の心の底から恩師と呼べる先生でした。あれは確か大学院1年生後期の2004年だったと思います。
在学の途中から今川先生が来られたため、私はゼミ生という形で指導を受けた訳ではありません。
しかし先生はいつも私の京田辺のまちづくり活動を褒めて頂き、それ以降無償で京田辺での勉強会講師を何度も引き受けてくださいました。
何よりその後の私の節目節目にチャンスを与えてくださり、そのお陰で今の私があると言っても過言ではありません。

2007年には国(内閣官房行政改革推進本部)で働く機会をつないでくださりました。
2008年には学会発表や初めての学会誌投稿、2009年からは母校での嘱託講師のご縁も頂きました。
母校での最初の1年間は先生と一緒に講義も担当させてもらいました。
2010年には共著という形で初めて本を執筆する機会を与えてくださり、以降5冊もの共著を先生と執筆させて頂きました。
最近では2015年度にJST の共同研究にも誘って頂き、そこで出会った「フューチャーデザイン」は私の現在最も重視するテーマになっています。
2012年の大学への就職、そして、今年の2016年の大学移籍についても、自分のことのように喜んでくださいました。

プライベートでも大変お世話になりました。
ご自宅にお呼び頂いた際は奥様から過去の今川先生のエピソードを教えて頂きましたし、
昨年娘が誕生した際にも翌日にはお祝いを届けてくださいました。その時にかけて頂いた

「家族が一番身近な自治だから、家族との時間をこれから大事にしてください」

というメッセージは今私が一番大事にしている価値観です。
何より先生が実践されてきたことでもありました。

今川先生とは9月25日お会いする予定でした。7月10日の学会後の懇親会以来、2か月ぶりに飲めることを楽しみにしておりました。
まさ7月10日が最後になるとは到底思えず、この時にしっかりと感謝の思いを伝えられたか、自信がありません。
来月10月14日は先生と一緒に与謝野町で対談できる仕事も組んでおりました。
さ来月11月13日は大分の産山村で家族同士の交流しながらシンポジウムに参加することも決まっておりました。
来年度4月には福知山公立大学で日本オンブズマン学会を招致することも決まっておりました。

私は「誰と仕事をするか」を一番に考えて今まで仕事をしてきました。
ですので、先生との仕事は大学の枠を越えて、とにかく楽しく、光栄で、勉強になり、とかく再重要視してきました。
こうした楽しみや学びの場が、今日からなくなると思うと胸が張り裂けそうになるくらい悲しく、辛いです。。
 
25日にやむにやまれない思いで先生のご自宅で最期のお別れと12年間お世話になった感謝の思いを伝えさせて頂きましたが、
これから先、何を楽しみに大学人として、そして研究者のはしくれとして生きていけば良いか、正直分かりません。
それくらい偉大な師であり、研究者であり、教育者でした。

今できることは、今川先生が大事にしてこられた家族をまず大事にすることでしょうか。それとも
「住民自治を基点とする地方自治への思い」「個人の人権尊重へのまなざし」「佐藤竺先生など原点を大事にする姿勢」を継承することでしょうか。
今の私には優先順位すらつけられません。

ただ、先生に何一つ恩返しができなくなった分、先生から頂いたご恩を後進に送り続けないといけません。
これは「受け取った者の義務」として何とか果たして参りたいと思います。
いましばらく仕事が手につかない日々が続くと思いますが。。

今川先生、あまりにも早過ぎる別れで、まだ気持ちの整理もつきませんし、どのようなお言葉を用意すべきか分かりません。
とにかくこの12年間、ご指導頂き、本当にありがとうございました。深謝に耐えません。
先生から学んだ様々な教訓とご一緒できた思い出は絶対に忘れません。

今はどうか安らかにお眠りください。
そして、天国で私ども薫陶を受けたものたちを引き続きお見守り頂けますようお願い申し上げます。

平成28年9月26日
杉岡 秀紀 拝

追伸

以下は先生が好きだった歌です。

「あの日の空よ」

今となっては涙なしには聴けません。。

https://www.youtube.com/watch?v=SJZmuNCWxeI  

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2016年04月02日

【今秋から新しい挑戦、福知山に移住します】

新しい年度が始まりました。

4月1日から地震もあり、またあいにくの天気でしたが、異動や退任、新任含め出会いと別れの季節到来です。

さて、そんな中私もこの秋から新しい挑戦をすることになりました。

この秋から福知山市に移住し、今日設立となった福知山公立大学(地域経営学部准教授)に移籍します。

本日HPに公開されました。
http://www.fukuchiyama.ac.jp/…/category…/2016-04-01-243.html
http://www.fukuchiyama.ac.jp/img/fukuchiyama_pamphlet.pdf

理由は色々とありますが、

・地方創生(教育)を本気でやるためには、都市(京都市)にいてては限界があると感じてきたこと
・府大に着任して5年目ですが年々府北部の仕事や人脈が広がり、教育と研究、地域貢献の主たるフィールドが府北部中心になってきたこと
・そして、新しい大学、未来を一緒に創りたいという恩師からお誘いを頂いたこと

が最大の理由です。

また自身田舎出身なので、子育て環境としても田舎がいいと思ったことも後押ししてくれたかもしれません。

公立大学から公立大学への転出なので、何だか異動みたいですが笑、実際は全くの別法人です
(元府大学長の井口先生が福知山公立大学の初代学長に就かれるので不思議な縁は感じますが)

ただ、まさに公共のために働く気持ちは同じですし、府北部と京都市を架橋する役割を担いたいと思っています。
(実際、今年は京都市内と福知山を行ったり来たりの生活になると思います)。

ともあれ、「何をするか」は当然として、「どこにいるか」「誰と組むか」を大事にしたいと思います。

この間三回ほどFDSDを重ねてきましたが、元逗子市長・龍谷大学の富野暉一郎先生、半農半Xの塩見直紀さん、同志社の谷口知弘先生、元景観まちづくりセンターの福島さん、元京都大COC担当の江上さん、元芝浦大の平野先生、元国立図書館の矢口先生、元新潟大の齋藤先生、元岡山大学の吉田先生、元東海大の篠原先生、元東京大学の佐藤先生、元厚労省系シンクタンクの岡本先生はじめ新しい血が入り、面白い経営陣、教職員が全国から集っています。

職員の皆さんも志高い方々が全国から集まりました。

そして、人生は二度なしですから、迷ったらやれ、道が二つあれば険しい道を選べ、ですよね。

また、攻めが最大の防御、出来ない理由より出来る理由を探す、隗より始めよ、です。

府北部、兵庫県北部の皆さん、秋からどうぞよろしくお願いします!

そして、府大関係や京都市内の皆さま、残り半年間よろしくお願いします。
(後期も非常勤で講義、ゼミ、卒論は全て担当しますので、府大の学生さんはご安心ください)

杉岡秀紀


  

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2016年02月07日

【書評】塚本亮『99%の人がしている悪い習慣を捨て、たった1%の成功者になれる本』

塚本亮『99%の人がしている悪い習慣を捨て、たった1%の成功者になれる本』アスカ出版、2015。

http://www.amazon.co.jp/99%25の人がしている悪い習慣を捨て、たった1%25の成功者になれる本-アスカビジネス-塚本-亮/dp/4756918085/

塚本君は大学の後輩で、現在日本とイギリスをつなぐ社会起業家である。

出会いは私がお世話になっている某商工会の方からの紹介で、彼がまだ英国から帰国して間もないころであったように思う。

塚本君は京都出身で、高校時代は少しヤンチャだったようで、当時の偏差値は30台。
つまり、今回の本で言えば「99%」の部類に入っていた。
(この当たりの話は彼の処女作で紹介されている)

しかし、そこから奮起して同志社大学経済学部に入り、さらに学びたい好奇心が高じ、
海を渡り、英国の最高峰の一つケンブリッジ大学に入学。

さらにそこでは心理学を学び、日本に帰国してから、就職ではなく「起業」という選択肢を彼は選んだ。

そして、瞬く間にその面白いキャリアや彼が持っている知識やノウハウと社会のニーズが合い、
本を出版するまでに至る。

つまり、本書でいう「1%」とはまさに自ら実践された塚本君自身でもある。
しかし、自らが実験台なだけにとてもリアルかつ説得力がある。

章立ては次のとおり。

・チャプター1:悩みから自由になるために捨てる12の悪い習慣
・チャプター2:強い自分になるために捨てる10の悪い習慣
・チャプター3:ラクな人間関係をつくるために捨てる11の悪い習慣
・チャプター4:もっと成長するために捨てる8の悪い習慣
・チャプター5:自分らしく活躍するために捨てる11の悪い習慣

基本的には本書は彼が心理学を通して学んだことや好きな言葉を紹介する形式を取っているが、
その背景には自らの体験や経験、あるいは自らの戒めというものがあり、J・デューイで言う

「経験による学び(Learning by Doing)」

が詰まった本と言える。
いわゆる自己啓発本とは似て非なるものである。
また、心理学の学術書のような研究本でもない。
(もちろん、心理学に興味のある方が入門書として読むのもあり)

しいて言えば「数学の公式集」のようなものであろうか。

ともあれ、こうしたいわば心理学を軸にした「ヒント」を活かすも殺すも自分次第である。

当然のことながら、「いま」読んでも響かないものある。

しかし、心の引き出しの奥の方に留めておくだけで、いつか使える「ノウハウ集」でもあると思う。

困った時はもちろん、まずは困る前に一読しておきたい、そんな一冊であった。


平成28年2月7日

杉岡 秀紀 記







  

2015年12月29日

2015年my10大ニュース【1位】

【1位】娘の誕生

今年一番のニュースは何と言っても新しい家族が誕生したことですね。

ワイフが言った次の一言が一番私ども家族の気持ちを表していると思います。

「娘が生まれて笑う回数が圧倒的に増えたね」

元々私もワイフもよく笑う(ついでに私はよく喋る笑)方です。

そんな中の一言ですので、本当に確信をついてるな〜と感じた訳です。


娘が生まれ、あらゆる価値観やスタイルが変わりました。


・起きる時間
・寝る時間
・睡眠時間
・家に帰る時間
・買い物先・買い物内容
・テレビを見る時間
・お風呂に入る時間
・家の家具
・読む本
・聞く音楽
・車
・飲み会の回数、帰る時間
・保険の種類
・夫婦の会話の内容etc…


全ての中心が子どもになりました。

しかし、最初こそちょっとした違和感がありましたが、こちらも

「親一年生」

として、毎日必至なので、不平や不満を言っている余裕などありません。

しかし、不思議ととにかく娘の

「笑顔」

で全てが許されるんですよね。

笑顔の力は本当にすごい。


そういえば、昔

「愛とは恕。すなわち赦(ゆる)すこと。そして思いやり」

と聞いたことがありますが、まさに正鵠を得ていると思います。


そして、昔読んだ「星の王子様」という絵本で

「大事なものは目に見えないんだよ」

という台詞(くだり)がありましたが、これは全てではなく、

「大事なものが見えること(もの)もある」

ということも分かりました笑。


ともあれ、彼女は2015年生まれのため、平均寿命まで生きられれば

「2100年」

すなわち22世紀に届く可能性があります。

「命のバトン・恩送り」

をしっかり果たせるよう、これからもまずは心身ともに健康第一で、
家族一丸となって楽しみながら成長して参りたいと思います。


追伸

下記の写真は1歳の時の私。娘と同じ顔をしています笑。



  

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2015年12月28日

2015年my10大ニュース【2位】

【2位】祖母の他界

今年10月26日に祖母が他界しました。83歳でした。

祖母は晩年軽いアルツハイマーで家族の介護も大変な時期もありましたが、
父方の祖母が生まれる前に亡くなった私にとっては祖母は唯一の祖母であり、
本当に大好きでした。

祖母は戦前生まれということもあり、小学校しか出ていません。
だからいわゆる「学(学歴)」はありません。
しかし、表面上の「学」はなくとも、人間として尊敬できる部分がたくさんありました。

一番尊敬できる点は、祖母から人の悪口を聞いたことがないということです。

祖母の悪口も周りから聞いたことがありません。

そして、何より勤勉で真面目な人でした。

祖母は昔ビジネスホテルで清掃のパートをしていたことがあります。
たまたまそのホテルで私が結婚式の司会をすることになり、宴会後に
その支配人とたまたま話す機会がありました。

祖母が昔働いていたことがあることを伝えると、

「あ〜西村さん(祖母)は本当に働き者やったな〜皆から慕われてましたよ」

というコメントを頂きました。

祖母が辞めてもう四半世紀くらい経つのに覚えてくれる支配人もすごいですが、
それくらい祖母が勤勉だったということですよね。

また、母方の実家である大分に帰省するといつも

「シゲ姉(祖母の呼び名)には若い頃から本当にお世話になってなぁ」

というコメントを皆異口同音に聞きます。
一人くらい違うコメントがあっても良いもんですが、
見事なくらい皆同じ台詞です。


私がお世話になったまち・京田辺にある一休寺の門をくぐると

「諸悪莫作 衆善奉行(良いことをしなさい。悪いことをするな)」

という言葉が書いてあります。

まさに祖母の人生はこの2つの言葉で表せられるかもしれません。

これは言うは易く行うは実は本当に難いことです。

私自身祖母に追いつけるかどうか、これから試されますね。

ともあれ、祖母の背中から学んだこの教えをこれからの人生を掛けて実践していこうと思います。


天国に飛び立った祖母にこれまで35年間お世話になった感謝を込めて。






  

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2015年12月27日

2015年my10大ニュース【3位】

【3位】文科省COC+採択&審査

3度目の正直という言葉があります。

COCとは文科省の地(知)の拠点大学による地方創生事業のことなのですが、今年3度目のトライでようやく採択に至れました(ただし参加校として)。

http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kaikaku/coc/

それどころか今年は審査員を務めさせて頂き、全体像もよく理解することが出来ました(当然自大学の審査には関われません。ご心配なく)。

http://www.jsps.go.jp/j-coc/data/02_shinsei_PRmeibo.pdf

勤務校は公立大学ゆえ、教育研究だけでなく、いかに地域に貢献する大学たり得ているか、というのが問われます。

しかし、他方で公立大学としての規模の小ささからマンパワーも限られ、他大学が職員も巻き込んだチーム戦で応募する中、勤務ではほぼ個人プレーでしたので、1年目は書類選考で落ち、2年目も面接選考まで進むも最後に涙を飲みました。

ちなみに京都の採択校は1年目京大、2年目工芸繊大と文教大です。

ともあれ、そのような悔しい思いをして来たからこそ、今年の採択の喜びもひとしおだった訳です。

ただし、まだこれで満足は出来ません。というのも今年発表された日経グローカルの地域貢献度ランキング2015では、勤務校は

「111位」

に甘んじているからです。分母が800弱あるとはいえ、公立であるにも関わらず、一言で言えば中途半端なポジションです。

http://www.nikkei.co.jp/rim/glweb/backno/no281.html

(参考)日経グローカル地域貢献度ランキング2015 京都編
1位(全国23位) 立命館大学
2位(全国30位) 龍谷大学
3位(全国77位) 京都工繊大学
4位(全国89位) 京都産業大学
5位(全国103位) 京都文教大学
◯6位(全国111位) 京都府立大学
7位(全国117位) 京都大学
8位(全国146位) 佛教大学
9位(全国157位) 京都嵯峨芸術大学
10位(全国161位) 京都光華女子大学
11位(全国197位) 京都学園大学

たかがランキングですが、されどランキングな面です。

ともあれ、これからも公立大学の教員として、まだまだ努力を続けねばなりません。


  

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2015年12月26日

2015年my10大ニュース【4位】

【4位】初の編著本刊行

勤務先で所属する

「京都政策研究センター」

http://www.kpu.ac.jp/category_list.php?frmCd=26-0-0-0-0

https://www.facebook.com/kpukpi/

という学内シンクタンクでは毎年公人の友社から研究成果の社会への発信と大学のPRの一環で

「ブックレット」

を刊行しています。

第1号は自己紹介を兼ねて

「地域貢献としての大学シンクタンク」
http://www.amazon.co.jp/地域貢献としての「大学発シンクタンク」―京都政策研究センター-KPI-の挑戦-京都政策研究センターブックレット-青山/dp/4875556195/

第2号は行政改革に焦点を当て、

「もう一つの自治体行革」
http://www.amazon.co.jp/もうひとつの「自治体改革」―住民満足度向上へつなげる-京都政策研究センターブックレット-青山-公三/dp/4875556403/ref=sr_1_3?s=books&ie=UTF8&qid=1451540024&sr=1-3

というシリーズを出版しました。

ここまでは著者の一人として執筆してきたのですが、第3号については、

「地域力再生とプロボノ」

ということで、たまたま私が主たる研究担当を務めていた協働研究テーマであったこともあり、

構想だけでなく、全体の論考の整理もさせて頂く、いわゆる

「編著者」

としての役割を果たさせて頂きました。

http://www.amazon.co.jp/地域力再生とプロボノ-京都政策研究センターブックレット-杉岡-秀紀/dp/4875556594

http://www.kpu.ac.jp/contents_detail.php?frmId=4375

ちなみに協働研究というのは、京都府から毎年3〜4テーマお題を頂き、勤務先の研究者仲間と一緒に1年間調査研究に励むものです。
したがって、京都府のHPにも研究成果が公表されています。

http://www.pref.kyoto.jp/chiikiryoku/fudaikenkyu.html

と、ここまでだと単なる出版報告なのですが、話は続きます。

なんとこの記事を読んでくださった別の出版社(ぎょうせい)からお声がかかり

『月刊ガバナンス』

というジャーナルにも記事を投稿させて頂けることになったのです。

http://shop.gyosei.jp/index.php?main_page=product_info&products_id=8831

また、このプロボノ研究を通じてのネットワークから、3月に開かれる

「日本NPO学会」

でもプロボノのセッションを作らせて頂くことになりました。

http://janpora.org/meeting/pdf/Program_v20151226.pdf

言いたいことは、きっかけはひょんなことから始まることも、
プラスに捉え頑張っていると、思わぬ

「セレンティピティ」

が訪れ、色々と面白い化学反応が起きるということです。

人以外に、コトやモノとの一期一会もやはり大事ですね。



  

Posted by 杉岡 秀紀 at 00:00Comments(0)杉岡日記より

2015年12月25日

2015年my10大ニュース【5位】

【5位】高校への出張授業

私の父は昔中高の社会の教師でありました。

そのご縁でしょうか。

今年から京都府立鳥羽高校からの依頼により、
年2〜3度でありますが、高校生を教えに行くことになりました。

ただ、なぜ大学の教員が高校を?と疑問が湧くと思います。

そのヒントは

「SGH」

というアルファベット3文字にあります。

SGHとは何か。「Sugioka Great Happiness」の略ではありません笑。

「Super Global Highschool」

の略で、一言で言えば文科省による新しい人材育成のための補助金です。

http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/sgh/

この採択校として鳥羽高校が選ばれ、その取り組みの一環として私にも依頼が来たということですね。

とはいえ、私自身はグローバル人材でも何でもありませんので、グローバル人材に必要とされる

「イノベーション探求」

という講義へ

・マーケティング思考
・フィールドワークスキル
・プレゼンスキル
・シティズンシップ


のエッセンスを伝えに、2〜3度お邪魔させてもらいました。

講義の状況は鳥羽高校のサイトにも掲載されています(6月29日、12月12日)。

http://www.kyoto-be.ne.jp/toba-hs/mt/Super_global/sgh/sgh1/index_2.html

http://www.kyoto-be.ne.jp/toba-hs/mt/Toba_Topics/


その中でも1点だけ特筆するとすれば、鳥羽高校生や府選挙管理委員会らと一緒に取り組んだ

「有権者教育&模擬選挙」

の取組みになります。

(鳥羽高校HP)
http://www.kyoto-be.ne.jp/toba-hs/mt/School_Life/2015/07/post-127.html

(数研出版HP)
http://www.chart.co.jp/subject/shakai/agora/64/agora64-2.pdf

(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20150711/ddl/k26/100/584000cl

(京都新聞)
http://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20150710000163/printl

(京都府立大学)
http://www.kpu.ac.jp/contents_detail.php?co=ser&frmId=4532


というのも今年の6月17日(奇しくも私の誕生日)に公職選挙法が改正され、来年度夏から

「18歳選挙権」

がわが国で実現する、すなわち、今年は高校生も有権者となることが決まったエポックメイキングな年だからです。

それゆえ、今年こそこうしたリアリティある講義を大学と高校、行政が協力して行い

「市民性×当事者性」

を高校に持ってもらい、考えてもらうことは単なる高大連携の域を越えて重要となります。


また、今年は縁を頂き、府PTAや府公立学校校長会でもお話をさせて頂く機会がありました。

こういう問題は高校の現場の先生だけでなく、親御さんや校長先生にも積極的な協力を頂くことで
鬼に金棒となりますので、まさに良い機会となった次第です。


ともあれ、今年は高校の教壇に数回立ってみて、親父が見てた光景はこういう光景だったんだろうな〜
としみじみと感じた一年となりました。


  

Posted by 杉岡 秀紀 at 00:00Comments(0)杉岡日記より